ヤブカンゾウ〈ワスレナグサ〉オレンジ色の花・画像・花言葉・食べ方

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ヤブカンゾウ

いつもの通り慣れた道を歩いていると川沿いの藪の中に、橙赤色のユリのような姿をした拳大の花が目のなかに入ってきました。

突然に藪の中から姿を現した植物は『ヤブカンゾウ』

この落ち着いたオレンジ色は自然の中にあると、とても目をひきます。細く伸びた長い茎の先に、橙赤色をした八重の大きな花が5~10輪次々と咲きます。


藪の中の橙赤色はとても美しく、魅了されます。

ヤブカンゾウとは

ユリ科ワスレグサ属の植物で、ニッコウキスゲやノカンゾウと同じ仲間です。

ヤブカンゾウは、『万葉集』にもワスレナグサとして登場するくらい、長く親しまれてきました。

花やつぼみ、若葉はことに美味しく、つい憂いを忘れてしまうことから、和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)では忘憂(ぼうゆう)という名で紹介されています。ワスレナグサの別名も、ここからきたものと言われています。

和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)は、平安時代中期に作られた辞書で、 承平年間(931年 – 938年)、勤子内親王の求めに応じて源順(みなもとのしたごう)が編集したものです。 略称は和名抄(わみょうしょう)。

名前の由来

漢名の萱草を音読みして戦前までは旧仮名使いで“クワンザウ”であったが、戦後の新仮名使い“カンゾウ”となり、他の薬草の“カンゾウ(甘草:マメ科カンゾウ属)と同じになり、混乱が生じています。

古くは、忘草、忘憂と呼ばれており、和名抄(934年)に萱草の漢名をあげ、一名“忘憂(ぼうゆう)”和名を“和須礼久佐(わすれぐさ)”としています。

忘草、忘憂の由来は、中国の詩人“陶淵明(とうえんめい:365~427年)の飲酒詩の一節に“忘憂の物”とありこれは、酒の異称であり萱草の異称であると云われていて、その訳には幾つかの説があります。

その一、この美しい花を見て、憂いを忘れる。
そのニ、金針菜は美味しくて、食べると憂いを忘れる。
その三、早春の新芽を食べると“憂いが晴れる”と云われたのが、花を見るだけで”憂いを忘れられる”になった。
その四、金針菜は薬効として、気分を高揚させる興奮剤になることから。

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花言葉

ヤブカンゾウ(藪萱草、薮萱草)の花言葉。
悲しみを忘れる、憂いを忘れる、愛の忘却、順応性、宣告、媚びを弄ぶ、理想郷

別名のボウユウソウ(忘憂草)は中国名のひとつで、花に気分を高揚させる効果があり、花を食べると憂いを忘れることからつけられたそうです。

花言葉「憂いを忘れる」「悲しみを忘れる」はここからきています。
6月22日の誕生花

萱草色(かんぞういろ)

萱草の花色にちなんだ黄味がかった橙色で、源氏物語にも登場する由緒ある伝統色ですが、当時は喪の時に着用される凶色とされ、普段は着ない色で、スオウやアカネ、クチナシなどで染めたようです。

ちなみに、黒が喪服の色になったのは明治時代からで、それ以前は貴族のみ萱草色で、他は白でした。
階級によっての色分けは貴族や武家で、貴族の一番高級な色は“黒”で、武士は”浅縹(あさはなだ:濃い水色)でした。

食べ方

《1》ヤブカンゾウの若芽
春に数センチ伸び出た若芽を採り、一度茹でます。(若い芽ほど軽く茹で水にさらします。)

軽いぬめりが出ますので、おひたしや和え物にすると美味です。また、天ぷらや煮物、炒め物、汁の具にも利用できます。小さいものは芽カンゾウと呼び、料理のつまとします。

《2》ヤブカンゾウのつぼみ・花
つぼみや花は、茹でて酢の物にすることが一般的です。和、洋、中のどんな料理にも向きます。花やつぼみを茹でて日干しにしたものは金針菜と呼ばれ、中華素材として売られています。

《3》薬用利用
・6月~8月頃の花蕾を採取して、熱湯で数分ゆがいてから日干しにして乾燥させます。
・日干しにして乾燥させた花蕾を生薬で金針菜(きんしんさい)といいます。
 
〈薬効〉風邪、不眠症、むくみなど 
使用方法は、金針菜の1日量15g程度を水500㍉リットルで、半量まで煎じて、食間に3回に分けて服用します。

秋に全草を掘り取り、根茎と葉とに分けて日干し乾燥させます。この根茎には、アスパラギン、リシンを含み、葉にはアルギニン、コリンを含有していて、不眠症、むくみに効き目があるとされます。   

まとめ


ヤブカンゾウは、平安時代には「わすれ草」と呼ばれ、食や由緒ある伝統色として親しまれていたことがわかりました。

『高貴』という言葉が似あう植物ですね。

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