春の海
春の海…優しい表情を持ちながらもどこか荒々しさを感じるのが私の春の海の印象です。
そういえば、お正月によく耳にする琴の音…あの、おめでたいなぁ~と感じる曲名は、『春の海』です。
春の海について、曲についても調べたみたいと思います。
春の海4K映像
波の音は本当に癒されます。海で波の音を聞きながら「ぼ~っ」とできる時間は、贅沢な時間です。
春の海とは
春の海…ぽかぽか陽気のよく晴れた空、その空と同じくらいに青く澄んだ海、そして、海面は暖かな日差しに照らされてキラキラしていて、風も心地よく気持ちがいい~。こんなイメージを浮かべます。
春の海…と聞いて、俳句好きの方ならまず思い出すのが、与謝蕪村の『春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな』ではないかと思います。
俳句をなさらない方もどこかで聞いた覚えがあるような一句です。
「のたりのたり」という言葉の音感に、春の海の穏やかさが感じられます。シンプルでいて情景豊かな句の味わいの一句です。
蕪村が絵筆(墨絵)も手にしていたことと関わりがあるのかもしれません。蕪村が丹後の海を懐かしんで作った句とも言われています。
そんな春の海の波を表わす季語に「春濤(しゅんとう)」があります。「濤(とう)」は大きくうねる波を表わす言葉ですが、春の波は大きくても穏やかなことをこの句は感じさせてくれます。
同様の表現に「春怒涛(はるどとう)」があります。こちらは響きが強いのですが、春という一語がその強さを和らげてくれるから不思議です。
春の海の幸
この時期の海と言えば、シラスが美味しい季節です。
シラスは4~5月と7月が潮流の関係で大漁となり、新鮮で美味しいと言われています。生はもちろんのこと、釜揚げやてんぷらなどの「シラス尽くし」を楽しむにはこの季節がお勧めです。
生ワカメも春の海の幸です。
春の海(曲)とは
春の海(はるのうみ)は、日本の箏曲家であり作曲家の宮城道雄が作曲した箏曲です。ヴァイオリン版も知られていますが、本来は箏と尺八の二重奏です。 新日本音楽を代表する楽曲です。
〈お正月以外の時期に聴いても心がゆったりとする音楽です。リラックスしていただけると幸いです。〉
波にたとえた筝の旋律が、かもめの声に表現した尺八の音色と絡み合い、のどかな春の海の様子を表現した4拍子のゆったりとした描写的な曲です。
小学校における音楽の観賞用教材として指定されているほか、特に正月には、テレビ・ラジオ番組や商業施設等でBGMとして使用されているため、今日では正月をイメージする代表的な曲の一つとして知られています。
大正6年(1917年)に作曲家の宮城道雄が上京する際に航路で旅した瀬戸内海をイメージして描いている曲です。
この曲のタイトル中にある『春』は、今で言う春ではなくて旧暦の春を意味しています。旧暦の春は1月~3月で、つまりこの曲はとても寒い季節の海を表しています。
タイトルに込められた意味を理解した上でこの曲を聴くと、きっと、今までとは違って聴こえてくると思います。
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まとめ
日本古来の楽器の特徴に触れ その音色を知って演奏を聴きその楽器によって表現される「海」の様子を想像しながら、味わって聴くことができると良いなとおもいます。
琴と尺八で奏でる、いかにもゆったりとした新たな気分になる曲ではないかと思います。